特殊洗管(SCOPE)工法

SCOPE工法

軟質樹脂のボールで、管の内側を直接こすり落とす。

SCOPE工法とは

管径より大きい球形の軟質ウレタン樹脂(PCボール)を管内に投入し、 管の内面に密着させたまま水流で走らせる洗浄工法です。 ボールが内面をこすりながら進むため、堆積物・付着物を物理的にはがして下流へ排出します。 伸縮性と反発性があるので、曲がり・伏せ越し・口径の変化がある管路もそのまま通過できます。 φ13〜φ1200mmと適用できる口径の幅が広く、健全なシールコートは残したまま 劣化した部分だけを除去できるのが特徴です。

こんな場合に適しています

  • 錆片・マンガン・砂利など、こすり落とす必要がある堆積物・付着物がある場合
  • 曲がり・伏せ越し・口径の変化が多く、通過性が問題になる管路
  • 小口径から大口径(φ13〜φ1200mm)まで、幅広い口径に対応したい場合
  • 健全なシールコートは残したまま、劣化した部分だけを除去したい場合
消火栓の開口部に黄色いPCボールを投入しようとしている現場写真
既設の消火栓からPCボールを投入する

仕組み

① 不断水の内視鏡カメラで管内を調査する

既設の地下式消火栓や空気弁の下に設置されているボール式補修弁を開け、 ケーブルを押し込んで管路内に内視鏡カメラを挿入します。 断水も掘削も必要なく、1箇所から上流・下流それぞれ最大100mを調査できます。 洗浄すべき場所と、濁りの原因(錆・マンガン・シールコートの劣化・堆積物など)を先に特定します。

  • 不断水で調査できる
  • 掘削・切管工事が不要
  • 1箇所から最大100m(上流・下流それぞれ)を調査可能
  • 石綿管以外の全管種に対応
  • 地上式消火栓にも対応
  • 1日2箇所の調査が可能
  • 1路線につき1〜3箇所ほど調査し、管の状態に応じて最適なボールを選ぶ
地下式消火栓室からケーブルドラムと内視鏡挿入装置を使って管路内へカメラを挿入する構成図
既設の消火栓室・空気弁室を利用してカメラを挿入する
不断水内視鏡装置の機材写真。ケーブルドラムと内視鏡挿入装置
不断水内視鏡カメラ装置(日本水道協会『水道維持管理指針2016』に掲載)

② PCボールを走らせて洗浄する

人体に無害なPCボール(軟質ウレタン樹脂製・管径より大きい径)を上流のランチャーから投入し、 水流で走らせます。ボールが管の内面に密着しながら進むため、 摩擦力と水流によって堆積物や付着物がはがれ、下流のキャッチャーで夾雑物とともに回収・排水されます。 カメラ調査の結果にもとづいて仕切弁を操作し、洗浄する区間を自在に設定できます。

  • PCボールは管径より大きい径のものを使用し、管内面に密着させる
  • 伸縮性と反発性があるため、曲がり・伏せ越し・口径の変化をそのまま通過できる
  • 硬さの異なるボール(ソフト/ハード)を管の状態に応じて使い分け、複数回通す
  • バルブ操作で洗浄区間を限定できる
SCOPE工法のモデル図。上流のランチャーからPCボールを投入し、ポンプで水を送って配水管内を走らせ、下流のキャッチャーで回収する断面図
上流のランチャーから投入し、下流のキャッチャーで回収する
管網における区間仕切りの仮想図。洗管対象の配水管を赤で示し、区間仕切弁と戸口の止水栓の位置を図示
管網での区間仕切り(バルブ操作で洗浄コースを選定する)
作業員が手に持った黄色いPCボール(ソフトタイプ)の写真
ソフト(黄色)。通過確認と初期の洗浄に使う面状発泡体
作業員が手に持った黒いPCボール(ハードタイプ)の写真
ハード(黒色)。骨格構造の発泡体で、こすり落とす力が強い

特徴

選べるオプション

  • 地上式消火栓からの洗浄に対応構造が複雑でメーカーによって仕様が異なるため活用が難しかった地上式消火栓からも、特殊アタッチメントを使うことで洗浄・カメラ調査ができます。※一部、対応できないメーカーがあります。
  • 夜間作業向けの低騒音・電動ポンプ通常はエンジンポンプを使用しますが、夜間の住宅地でも施工できる低騒音の電動ポンプを選択できます。

適用条件

SCOPE工法の適用条件(現時点で公開されている値)
対応口径 φ13〜φ1200mm
施工延長 洗浄延長に制限なし(断水4時間なら最長2km)
管種の実績 DCIP(ダクタイル鋳鉄管)・VP。カメラ調査は石綿管以外の全管種に対応
接続箇所 既設の地下式/地上式消火栓、空気弁、排水口など(管路の口径による)
管路の形状 曲がり・伏せ越しの通過数に制限なし。拡径・縮径にも対応
断水条件 昼間半日の断水で施工可能(4時間断水で最長2km)。断水なしの実績もあり
使用材料 PCボール(軟質ウレタン樹脂・人体に無害)。薬品不使用
効果の確認 施工前後の不断水内視鏡カメラ調査(映像で記録)

もう一方の工法との違いは工法の使い分けガイドでご確認いただけます。

施工の流れ

  1. ステップ1

    事前カメラ調査

    PCボールの挿入地点・回収地点や、管路途中の地下式消火栓から不断水の内視鏡カメラを入れて撮影します。1路線につき1〜3箇所ほど調査し、管の状態を確認して最適なボールを選定します。

  2. ステップ2

    錆瘤の除去(必要な場合)

    古い消火栓では縦管部が錆瘤で閉塞していることがあります。その場合は先に除去してから洗浄に進みます。

  3. ステップ3

    止水作業

    ランチャー側とキャッチャー側を設置し、区間仕切りの範囲の仕切弁・止水栓を一斉に閉じます。

  4. ステップ4

    PCボールによる洗浄

    ランチャーからPCボールを投入して走らせ、キャッチャーで回収します。硬さの異なるボールを数回通し、堆積物・付着物を排出除去します。

  5. ステップ5

    排泥

    洗浄で出た濁水と夾雑物を排出し、通水できる状態に戻します。

  6. ステップ6

    事後カメラ調査

    同じ箇所を再撮影し、洗浄前後を比較・検証します。結果は報告書にまとめます。

効果が出やすい管の状況

実際の適用可否は事前のカメラ調査で判断します。判断がつかない場合もご相談ください。

効果が出やすい

  • 管内カメラで撮影した、浮遊物と堆積物が見られる管の内部

    浮遊物・堆積物

  • 管内カメラで撮影した、錆片が堆積している管の内部

    錆片の堆積

  • 管内カメラで撮影した、マンガンが付着している管の内部

    マンガンの付着

  • 管内カメラで撮影した、シールコートが剥離している管の内部

    シールコートの剥離

効果が出にくい

  • 管内カメラで撮影した、異形管部が錆瘤で閉塞している管の内部

    異形管部の錆瘤による閉塞

  • 管内カメラで撮影した、固い錆瘤が付着している管の内部

    固い錆瘤

施工実績

  • 95カ所

    施工実績

  • 全国67市町村

    施工した自治体

  • 約31%

    リピート率

  • 172,451m

    洗管延長の合計

2025年3月現在

施工事例

洗浄で取り除いたもの

洗管1回目から4回目まで、採水サンプルの瓶4本を並べた写真。回を追うごとに濁りが薄くなっている
採水サンプルの変化
PCボールの排出と同時に採取した、最も濃い濁水。左から1回目・2回目・3回目・4回目
洗管で回収された石と錆片を、目盛りのある台の上に並べた写真
回収した石・錆片
定規と並べたもの。大きなものは10cmを超える
洗管で排出された砂状の夾雑物が、目盛りのある台の上に山状に積まれている写真
回収したシールコート片・錆片
洗浄で管内から排出された夾雑物
洗管で排出された夾雑物を現場の容器に回収している写真
排出物の回収
錆片などの排出物を現場で回収する
洗管により排出された錆片とシールコート片が、目盛りのある台の上に山状に積まれている写真
錆片・剥離したシールコート片
配水管 DCIP φ100/1979年布設/洗管距離422m(PCボール4回通過)
洗管により排出された長さ18cm程度の大きな石の写真
回収された石(18cm程度)
送水管 DCIP φ300/2001・2002年布設/洗管距離260m(PCボール3回通過)

洗管前後の管内比較

ランクは一般社団法人全国水道管内カメラ調査協会の評価基準によります。

錆の状態

洗管前

錆の状態:洗管前の管内

Cランク(錆による閉塞。閉塞率30%未満)

洗管後

錆の状態:洗管後の管内

Bランク(錆瘤が確認される)

内面付着物の状態

洗管前

内面付着物の状態:洗管前の管内

Bランク(管路内面全体に付着物)

洗管後

内面付着物の状態:洗管後の管内

Sランク(付着物が確認されない)

内面防食の状態

洗管前

内面防食の状態:洗管前の管内

Cランク

洗管後

内面防食の状態:洗管後の管内

Sランク

浮遊物の状態

洗管前

浮遊物の状態:洗管前の管内

Cランク(多量の浮遊物が常に確認できる)

洗管後

浮遊物の状態:洗管後の管内

Sランク(浮遊物が確認されない)

堆積物の状態

洗管前

堆積物の状態:洗管前の管内

Cランク(広範囲に錆や砂・石等の堆積)

洗管後

堆積物の状態:洗管後の管内

Sランク(堆積物がない)

導入いただいた事業体の声

  • 赤水やマンガン粒、シールコート片が出なくなった。
  • 流入した石・砂を除去できた。
  • 布設替えが困難な鉄道下やバイパス道下なども洗浄できた。
  • 未使用管を問題なく供用開始できた。
  • 水供給路の変更や管網の接続で予想された濁水の発生を予防できた。
  • 残留塩素濃度が上がり、塩素の投入量を減らすことができた。
  • 導水管の流量が回復した。